「お客様からの問い合わせメール、毎回似たような文面を打っている気がする…」
「かといって、完全に定型文の自動返信だと冷たい印象を与えてしまう…」
そのジレンマ、n8nとAI(ChatGPT)を組み合わせれば解決します。
本記事では、単純な自動応答ではなく、「メールの内容をAIが読み取り、文脈に合った丁寧な返信案を作成し、Gmailの『下書き』に入れておく」という、実務で最も安全かつ効率的なワークフローの作り方を解説します。
いきなり送信しないため、誤送信のリスクはゼロ。あなたは朝起きて「下書き」を確認し、送信ボタンを押すだけになります。
【結論】AI秘書が「8割」の仕事を終わらせてくれる
今回構築するフローは、以下の流れで動作します。
- 受信: 特定の条件(件名に「問い合わせ」など)のメールを検知。
- 思考: AIがメール本文を読み、適切な返信文を生成。
- 完了: Gmailの「下書き(Draft)」フォルダに返信案が保存される。
これだけで、メール対応にかかる時間は5分の1以下に短縮されます。
実践!AI自動返信フローの構築ステップ
Step 0: Gmail認証(OAuth2)の壁を越える
n8nでGmailを操作するには、Google Cloud Platform (GCP) でのAPI設定が必要です。ここは少し手間がかかる「唯一の難所」ですが、一度設定すればずっと使えます。
- n8nの [Credential] 設定画面にあるガイド通りに、GCPで「OAuth Client ID」と「Client Secret」を取得してください。
- ポイント: テスト段階では、GCPの「Publishing status」を Testing にし、自分のメールアドレスをTest usersに追加するのが一番近道です。
Step 1: メール検知トリガーの設定 (Gmail Trigger)
フローの開始地点です。
- Gmail Trigger ノードを追加します。
- Event:
Message Receivedを選択。 - Filters: 全てのメールに反応すると大変なことになるので、ここで条件を絞ります。
- 例:
Subject(件名) Contains問い合わせ - 例:
Sender(送信者) Does not containmyself@example.com(自分自身を除外)
- 例:
Step 2: AIに返信文を書かせる (OpenAI Node)
ChatGPTにメールの代筆を依頼します。
- OpenAI ノードを追加し、Gmail Triggerの後ろに繋ぎます。
- Resource:
Chat、Operation:Completeを選択。 - Prompt: 以下のようなテンプレートを設定します。メール本文は、左側のパネルからドラッグ&ドロップで埋め込みます。
あなたは優秀なカスタマーサポート担当です。
以下の顧客からのメールに対して、丁寧で共感的な返信メールを作成してください。
# 条件
- 相手の名前がわかる場合は冒頭に入れること。
- 解決策を提示した後、不明点があれば連絡してほしいと添えること。
- 署名は不要です。
# 受信メール本文
{{ $json.snippet }} ←ここにGmailの本文をマッピング
Step 3: 「下書き」を作成する (Gmail Node)
ここが「安全運用」のキモです。いきなり Send するのではなく、Draft を作成します。
- もう一度 Gmail ノードを追加します(TriggerではなくActionの方)。
- Resource:
Message、Operation:Create Draftを選択。 - 各項目を埋めていきます:
- Subject:
Re: {{ $node["Gmail Trigger"].json["subject"] }}(元の件名にRe:をつける) - To Email:
{{ $node["Gmail Trigger"].json["from"]["value"][0]["address"] }}(送信元の相手) - Message (Body):
{{ $node["OpenAI"].json["content"] }}(AIが生成した文章)
- Subject:
- Thread ID: これを設定すると、新規メールではなく「スレッドの返信」として下書きが作られます。Gmail Triggerから
threadIdをマッピングしてください。
【重要】絶対にやってはいけない「無限ループ」対策
自動返信システムで最も恐ろしい事故、それは「自動返信メールに対して、また自動返信してしまう」という無限ループです。
これを防ぐために、Step 1のトリガー設定またはStep 1と2の間に「IFノード」を挟み、以下の除外設定を必ず行ってください。
- 送信者が自分自身(me)でないこと
- 件名に「Automatic reply」「自動応答」が含まれていないこと
- メールアドレスが
no-reply@...でないこと
n8nのTrigger設定にある Filters 機能を使えば、これらを事前にブロックできます。
よくある質問 (Q&A)
Q: 無料のGmail (@gmail.com) でも使えますか?
はい、使えます。ただし、Googleのセキュリティポリシーにより、@gmail.comのアドレスでOAuth設定を行うと、数日ごとに再認証(Reconnect)が必要になる場合があります。安定運用にはGoogle Workspaceアカウントが推奨されます。
Q: AIが変なことを書かないか心配です。
だからこその「下書き(Draft)」運用です。AIは90点の下書きを作りますが、最後の10点(事実確認やニュアンス修正)は人間が行います。それでも「ゼロから書く」より圧倒的に早いです。
まとめ
このフローを一度作ってしまえば、あなたは「メールを書く」作業から解放され、「AIが書いたメールをチェックして送信ボタンを押す」だけの管理者になれます。
- Gmail Trigger で受信検知
- OpenAI で文章作成
- Gmail Draft で下書き保存
まずは特定の件名(例:テスト)だけで動くようにフィルタをかけて、実験してみてください。


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