「業務自動化ツールとして最強」と名高いn8n(エヌエイトエヌ)。しかし、いざ使おうとして「画面が全部英語でそっとブラウザを閉じた」という経験はありませんか?
安心してください。英語が苦手なのはあなただけではありませんし、それを理由にこの強力な武器を捨てるのはあまりに「もったいない」です。
実は、n8nは2024年以降のAI機能の搭載により、「日本語で指示を出せば、勝手にワークフローが作られる」という次元に進化しています。本記事では、エンジニアである私が実践している「擬似的な日本語化設定」と、英語を読まずに使いこなすための具体的なテクニックを解説します。
【結論】n8nの「日本語化」で実現できる未来
結論から申し上げます。n8n自体には現在、公式の「言語切り替えボタン」は存在しません。しかし、ブラウザ機能とn8nのAI機能を組み合わせることで、実質的な「日本語環境」は100%再現可能です。
この設定を行うことで、以下の未来が手に入ります。
- 辞書片手に単語を調べる時間が0分になる。
- 「スプレッドシートに来た問い合わせをSlackに通知」といった指示を日本語で入力するだけで設定が完了する。
- エラーが出ても、日本語で原因を特定できる。
自動化の全体像と仕組み
完成図のイメージ:n8nは「優秀な通訳付きの工事現場」
n8nでの作業は、ブロック(ノード)を線で繋いでいく「工事」のようなものです。これまでは英語の設計図しかありませんでしたが、今回紹介する方法を使えば、「日本語の設計図」と「日本語がわかる現場監督(AI)」を雇うことができます。
例えば、「Gmailにメールが届いたら(A)、内容を要約して(B)、Notionに保存する(C)」という流れも、日本語のみで構築可能です。
必要なツールと準備
特別な有料ツールは不要です。以下の環境を整えてください。
- n8nアカウント: Cloud版(月額制)またはDesktop版(無料・Mac/Windows対応)。初心者はインストール不要のCloud版か、PCにインストールするだけのDesktop版がおすすめです。
- Google Chrome または Microsoft Edge: ブラウザの標準翻訳機能を使用します。
- DeepL(推奨): 拡張機能を入れておくと、より高精度な翻訳が可能です。
【完全ガイド】実践!擬似日本語化と初期設定ステップ
それでは、実際にn8nを日本語で使いこなすための環境構築を行いましょう。
Step 1: タイムゾーンを「Asia/Tokyo」に設定する
まず最初に行うべき、最も重要な「日本語化」設定です。これを忘れると、スケジュール実行(毎朝9時に送信など)がズレてしまい、業務に支障が出ます。
- n8nの画面左側のメニューから [Settings](設定)をクリックします。
- [Timezone] の項目を探します。
- 検索窓に「Tokyo」と入力し、Asia/Tokyo を選択します。
これで、n8n内部の時計が日本時間(JST)に合いました。
Step 2: ブラウザの「自動翻訳」を活用する
「そんなことか」と思われるかもしれませんが、n8nのUIは特殊な用語が多いため、最近のブラウザ翻訳精度向上により、これが最も安全かつ確実な方法です。
- Chromeの場合: 画面上の何もないところで「右クリック」→「日本語に翻訳」を選択します。
- ポイント: 常に日本語化するとコード入力時に誤作動することがあるため、「メニューの意味がわからない時だけONにする」運用がプロの推奨です。
用語の噛み砕き解説:
翻訳すると「ウェブフック」や「クローン」などが出てきます。
・Webhook(ウェブフック): 「情報の受け取り口」です。特定のメールが届いた瞬間にピンポンと鳴るチャイムのような役割です。
・Cron(クーロン/クロン): 「定時タイマー」です。「毎朝9時」など時間を指定して起動するスイッチです。
Step 3: AI機能(Ask AI)で日本語プロンプトを使う
これが現代のn8nの真骨頂です。ノードの設定画面を開くと、多くの場所で「✨」のようなAIアイコンやチャット欄が表示されます。
- ワークフロー作成画面(Canvas)で、AIアシスタントを開きます。
- 日本語で次のように入力してください。
Googleスプレッドシートからデータを取得して、Slackに通知するワークフローを作ってください。 - AIが自動的に必要なノード(部品)を配置し、線で繋いでくれます。
英語のメニューからパーツを探す必要は、もうありません。
[応用テクニック] 日本語データの文字化け・エラー対策
日本語環境で使う際に発生しやすい「日本語データ」の扱いについて解説します。
JSONデータの扱いとUnicode
n8n内ではデータは「JSON(ジェイソン)」という形式で扱われます。時々、日本語が \u3042... のような記号(Unicodeエスケープ)で表示されることがありますが、これはデータとしては壊れていません。
- 対策: 最終的にGoogleスプレッドシートやSlackに出力する段階で、自動的に正しい日本語に戻ります。プレビュー画面で記号になっていても、焦らずテスト実行(Execute)を行ってください。
[注意点とトラブルシューティング] よくあるエラーと対処法
よくあるエラー1: “Date Format”(日付形式)のエラー
海外ツールのため、日付が「月/日/年」の形式で処理されることがあります。
- 症状: 日本のExcelファイルを読み込むと日付がおかしくなる。
- 解決策: 「Date & Time」ノードを使用し、フォーマット設定で `YYYY-MM-DD`(年-月-日)を指定してください。これで日本の商習慣に合った形式になります。
課金リスクの管理(Cloud版の場合)
n8nのCloud版は「ワークフローの実行回数」で課金が決まるプランがあります。
- 無限ループ(AしたらB、BしたらA…)を作ってしまうと、一瞬で回数を消費します。
- 対策: 必ず最初は少量のデータでテストを行い、[Settings] → [Execution Log] で実行履歴を確認する癖をつけてください。
よくある質問 (Q&A)
Q1: 無料プランでも日本語で使えますか?
はい。Desktop版(無料)でもCloud版のFree Trialでも、ブラウザ翻訳やTimezone設定の手順は同じです。AI機能についてはプランにより制限がある場合がありますが、基本的な構築は可能です。
Q2: プログラミング知識は本当に不要ですか?
「完全不要」と言えば嘘になりますが、「読み書き」のレベルは激減しました。以前はJavaScriptを書く必要があった複雑な処理も、今はAIに「このデータを合計して」と日本語で頼めばコードを生成してくれます。
まとめ
n8nは「英語だから」という理由で避けるにはあまりに強力すぎるツールです。
- TimezoneをAsia/Tokyoにする
- ブラウザ翻訳を補助輪にする
- AIに日本語で指示を出す
この3点を守れば、今日からあなたも自動化エンジニアです。まずは無料のDesktop版をインストールするか、Cloud版のトライアルに登録して、最初の日本語プロンプトを入力してみてください。
あなたの残業時間が「0」になる第一歩は、そこから始まります。
参考文献・リンク
- n8n Official Documentation (英語) – 公式ドキュメント
- n8n Pricing – 最新の料金プラン
- n8n GitHub Repository – オープンソース版ソースコード


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