2026年4月、Microsoft VS Codeのリポジトリで、AI共著者トレーラー(Co-authored-by)をデフォルトで有効化するプルリクエストがマージされた。PR #310226「Enabling ai co author by default」がそれで、Gitコミットに意図せずCopilotの著者情報が混入する挙動として大きな反発を呼んでいる。本記事では、元のPRに明示されている事実だけを追い、何が変わり、ユーザーがどう対処できるのかを整理する。
何が起きたのか
変更内容自体はシンプルだ。Git拡張の設定 git.addAICoAuthor のデフォルト値が “off” から “all” に変更された。PRに付いたCopilotのレビューは、変更の趣旨をこう要約している。
This PR changes the Git extension’s
git.addAICoAuthorsetting so that AI co-author trailers are enabled by default, making the default behavior automatically add a Co-authored-by trailer when AI-generated code contributions are detected.(このPRはGit拡張の
git.addAICoAuthor設定を変更し、AI共著者トレーラーをデフォルトで有効にする。AI生成のコード貢献が検出されたとき、デフォルトで自動的にCo-authored-byトレーラーを付与する挙動になる。)
このPRは cwebster-99 が2026年4月15日に作成し、翌16日に dmitrivMS が main にマージ、マイルストーン 1.117.0 に紐付けられた。変更ファイルは extensions/git/package.json と extensions/git/src/repository.ts の2つ。リアクションは賛成(👍)2に対し反対(👎)が372と、コミュニティの反応は明確に否定的だった。
なぜ問題視されているか
論点は大きく2つある。1つは「デフォルトで有効化する」という設計判断そのもの。マージ後の2026年4月25日以降、ユーザーから直接的な批判が並んだ。
Why in the world would you default this! 😡(なぜこれをデフォルトにするんだ)— rgs2151
Wth.. makeing this default behaviour and not notifying users is crazy(デフォルト挙動にしてユーザーに通知もしないのは正気じゃない)— anonymni-hlasatel
もう1つは、PRレビューで Copilot自身が指摘した実装の不整合だ。スキーマのデフォルトは “all” に変わったが、repository.ts のランタイム側フォールバックは config.get('addAICoAuthor', 'off') のまま “off” を返しており、両者が同期していないと指摘した。このコメントは後続のコミット「Updating the fallback」で対応されている。なお、Copilotが提案した修正差分はデフォルトを “off” に戻す内容で、これには笑い(😄)リアクションが48付いた。
さらに踏み込んだ報告として、AI機能を無効化しているはずなのに付与が止まらない、という声もある。
please revert until it actually works. I have “chat.disableAIFeatures”: true and co-authored by copilot still gets inserted into most commits.(ちゃんと動くまでリバートしてほしい。
chat.disableAIFeatures: trueにしているのに、Co-authored-by copilot がほとんどのコミットに挿入され続ける)— flying-sheep
ただし、この挙動が全環境で再現するのか、特定条件下のものかは元のスレッドでは詳細条件が明示されておらず、現時点ではコミュニティ報告ベースである点に留意したい。
読者がどう守るか
元のPRから確実に言えるのは、挙動を制御する設定が git.addAICoAuthor であり、値として “off” と “all” が存在することだ。意図しない共著者付与を避けたい場合、まずこの設定を確認するのが出発点になる。
- 設定を明示的に “off” にする:
git.addAICoAuthorを自分で off に指定すれば、デフォルト値の変更に依存しなくなる。 - マージ済みのコミット履歴を確認する:1.117.0 以降で作ったコミットに、意図しない
Co-authored-byトレーラーが入っていないかを点検する。 - 留保点を踏まえる:上記の通り、AI機能を無効化しても付与が続いたという報告があるため、設定変更後に実際のコミットメッセージで付与が止まったかを各自で検証することを勧める。元記事ではこの再現条件は明示されていない。
まとめ
- VS Code 1.117.0 で
git.addAICoAuthorのデフォルトが “off”→”all” になり、AI共著者トレーラーが既定で付くようになった。 - PRには反対372・賛成2と否定的反応が集中し、デフォルト化と通知の欠如が主な批判点。
- 対処の起点は
git.addAICoAuthorを明示設定すること。ただし無効化しても止まらない報告もあり、各自の検証が必要。
実装家視点で言うと、これは「機能の良し悪し」より「デフォルトを誰の同意で変えるか」の問題だ。コミットの著者情報は監査・ライセンス・コントリビューター統計に直結するメタデータで、ユーザーが知らないうちに書き換わるのは静かなだけに厄介だ。現場で使うなら、エディタ更新後は git.addAICoAuthor のような著者・コミット関連設定を一度棚卸しし、CIやコミットテンプレ側でトレーラーの有無を検証フックに組み込んでおくと、こうしたデフォルト変更を自分の意思の外で踏まずに済む。


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