2026年7月16日、x.aiがGrok 4.5を発表しました。記事内では「コーディング、エージェント的タスク、知識労働のための最も賢いモデル」と位置づけられ、Cursorと共同で学習したと明記されています。この記事は公式発表だけを材料にしたレビューです。
先に結論を書きます。良い点は、価格の安さ(入力$2/出力$6、100万トークンあたり)、出力トークンの少なさ、80 TPSの速度です。注意点もあります。公式が載せたベンチマークでも、首位はSWE Marathonの1つだけで、DeepSWEやSWE Bench ProではFable (max)などが上にいます。「最強」という言葉だけで判断せず、表の中身まで見るのがおすすめです。
何が報告されたか
発表で特に強調されているのは、実際のエンジニアリング作業での性能と効率です。
Grok 4.5 is served at fast-model speeds of 80 TPS. Combined with twice greater token efficiency than the latest leading models at the same tasks, the model delivers intelligent results to you more quickly and at far lower costs.
学習面では、数万基規模のNVIDIA GB300 GPUを使ったこと、重複除去や品質スコアリングによるデータの選別、数十万タスク規模の強化学習が説明されています。強化学習の中心は複数ステップのソフトウェアエンジニアリングです。また、Grok 4.5はGrok Buildの既定モデルになり、Excel・PowerPoint・Wordでの作業にも強いとされています。プラグインはWord、PowerPoint、Excel、Outlook向けが案内されています。
具体的なポイント
- SWE Marathon(pass@1):Grok 4.5が29.0%で首位。Opus 4.8 (max) 26.0%、Fable (max) 24.0%が続く
- DeepSWE 1.0:62.0%で3位。上位はFable (max) 66.1%、GPT 5.5 (xhigh) 64.31%
- DeepSWE 1.1(mini-swe-agentハーネス):53%。Fable (max) 70%、GPT 5.5 (xhigh) 67%、Opus 4.8 (max) 59%に次ぐ順位
- Terminal Bench 2.1:83.3%。首位のFable (max) 84.3%、GPT 5.5 (xhigh) 83.4%と僅差
- SWE Bench Pro:64.7%で3位。Fable (max) 80.4%、Opus 4.8 (max) 69.2%が上
- トークン効率:SWE Bench Proの1タスクあたりの平均出力トークンは15,954。Opus 4.8 (max)は67,020で、比べると約4.2分の1
- 価格:入力が100万トークンあたり$2、出力が$6
なお、公式は「競合の数値は各開発元が公開したシステムカードやリーダーボードから引用した」と注記しています。すべてのモデルを同じ条件で測った結果ではない点は割り引いて読む必要があります。
他選択肢との位置付け
公式の表を素直に読むと、Grok 4.5は正答率の頂点を狙うモデルではありません。性能はトップ層に近く、そのうえで価格・速度・トークン量で優位に立つモデルです。公式自身も「単位時間・単位コストあたりの知能が最も高い」と主張しています。正答率だけを見るならFable (max)が多くの項目で上にいます。長時間タスク(SWE Marathon)とコスト効率を重視するなら、Grok 4.5は有力な候補です。
導入・確認の最小手順
Grok 4.5は、Grok Build、Cursor(全プラン)、x.aiのコンソールで使えます。Grok BuildとCursorでは期間限定で無料と案内されています。APIは、公式に載っている次の例で試せます。
curl -s https://api.x.ai/v1/responses \
-H "Authorization: Bearer $XAI_API_KEY" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{
"model": "grok-4.5",
"input": "Find and fix the bug, then explain it: function median(a){a.sort();return a[a.length/2]}"
}'
発表の末尾には次のインストールコマンドも載っています。
curl -fsSL https://x.ai/cli/install.sh | bash
まとめ
ベンチマークで首位なのはSWE Marathonだけで、ほかの項目ではトップ層に一歩届いていません。
本当の売りは、$2/$6という価格、80 TPSの速度、Opus 4.8 (max)比で約4.2分の1の出力トークン量です。
Cursorではすべてのプランで使え、期間限定で無料なので、まずは手元のタスクで試すのが早いです。
実装家視点で言うと、エージェントを長時間回す用途では、正答率の数ポイント差よりも出力トークン量と単価の差の方が月額に直接効いてきます。最難関の設計やレビューは上位モデルに任せ、量の多い修正タスクや長時間かかるタスクをGrok 4.5に振り分ける。こうした「役割で使い分ける」導入が現実的だと思います。期間限定で無料のうちにCursor上で自分のリポジトリを使って試し、公式ベンチではなく自分のタスクでの成功率と出力トークン量を測っておくのがおすすめです。


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